令和7年10月21日~23日 視察報告
今回の民生常任委員会では、熊本・鹿児島・堺の3都市を訪れ、福祉と地域づくりの先進的な取り組みを学びました。
どの都市にも共通していたのは、「現場の声をどう行政が受け止め、支え合いの仕組みへつなげていくか」という視点でした。
熊本県熊本市:市長部局によるいじめ対策
教育委員会だけでは解決しきれない、いじめや不登校といった問題に対して、市長部局が主体的に動く「こどもの権利サポートセンター」を設置しているのが熊本市の特徴です。
学校や家庭に頼りすぎず、第三者として中立的に子どもを支える体制が整っており、電話・メール・はがき・24時間匿名チャットといった“多様な相談の入口”が印象的でした。
特に心に残ったのは「紹介で終わらせない」という伴走の姿勢。相談が寄せられた後も、学校や家庭と丁寧に連携しながら、子どもに寄り添い続ける仕組みは、横須賀市でも応用できるモデルだと感じました。

鹿児島県鹿児島市:町内会デジタル化を“やさしく促進”
町内会の担い手不足や高齢化が課題となる中、鹿児島市では「できるところから無理なく始める」デジタル化支援が行われています。
LINEオープンチャットやオンライン集金など、地域ごとの実情に合わせた柔軟な運用が特徴で、紙の回覧板をあえて残すなど“つながりを絶やさない”工夫が随所に見られました。
若い世代が協力しやすいように謝金制度や市有施設の優待も設けており、地域に参加する「きっかけづくり」としても有効です。
デジタルとアナログを共存させる現実的なアプローチは、横須賀でも十分に参考になると感じました。

大阪府堺市:制服バンクに見る公民連携の形
堺市の「制服バンク」は、行政が直接お金を出すのではなく、地域と民間を“つなぐ”役割を果たす仕組みです。
寄付された制服を専門店が整備し、ひとり親家庭に低価格で提供する――そんな温かくも持続可能な取り組みが、市民の共感と協力の輪を広げています。
行政が「支援する側」ではなく「つなぐ側」として動くこのモデルは、地域の力を信じる堺市ならではの発想です。
横須賀でも、学校やPTA、地域商店との連携を通じて同様の取り組みが可能だと感じました。

おわりに
3都市を回って改めて実感したのは、制度よりも「人」がまちを支えているということです。
熊本では子どもを守る行政の伴走力、鹿児島では地域の知恵を活かす柔軟さ、堺では信頼を軸にした公民連携
どの取り組みも、「地域が自ら動く力」を引き出していました。
横須賀でも、こうした実例を糧に、行政と地域、そして市民がともに支え合うまちづくりを進めていきたいと思います。
横須賀市議会議員:ひろなか信太郎